大切にしたいことは、「上手にできること」よりも「自信がつくこと」。感性を育み、続ける力を身につけるピアノ教室。ピアニストとしてヨーロッパで活躍し、現在は子育てをしながら個人教室をひらく宮木悠吏先生に、諦めない力と自己肯定感を育むピアノ教室の役割についてお話をうかがいました。
Q1.レッスンで大切にしていることは何ですか?
「できた!」と思える経験を積み重ねることです。
私は「諦めない気持ち」と「自己肯定感」を育むことを大切にしています。その子の能力より〝少しだけ〞難しいことに取り組ませることで、「あと少しでできそう!」という前向きな気持ちが生まれます。そして、できた瞬間を一緒に喜ぶことで、「やればできる」という感覚と、努力する力が自然と育っていきます。
Q2.幼児期のピアノレッスン。どのように指導するのですか?
30分のなかで、「学び」と「表現」をギュッと詰め込みます。
初回は紙に手形をとり、自分の手と鍵盤との関係を知るところから始めます。正しい指づかいや姿勢も、たとえ話を交えて楽しく習得。3〜4回目には両手で弾けるようになる子もいます。演奏だけでなく、あいさつやお辞儀などの舞台マナー、人との接し方も大切にしています。音楽は「気持ちを表す手段」でもあるので、心を込めて弾くことも伝えています。また、ピアノは指先を使いながら音を読み取る複合的な活動のため、集中力や記憶力、空間認識力など「考える力」も自然に育ちます。学
習面にも良い影響があると言われています。
Q3. 家庭での関わり方で気をつけたいことは?
「やらせる」はNG!「一緒に楽しむ」ことが大切です
毎日、親子で意味のある練習ができると理想的です。長時間だらだらよりも、短時間で集中することが大切!最初はそばで見守るだけでも十分です。ピアノは一人で頑張るものと思われがちですが、家族の関わり方で子どもの伸び方は大きく変わります。練習が楽しい時間になるよう、無理なく寄り添ってあげてください。子どもの習いごとは、自信をつけさせてあげることの手段です。お子さんがキラキラしている様子が見られるお教室を選んでください。そして思うように進まない日があっても、先生と親が一緒に「諦めない姿勢」を見せてあげることが、子どもにとって何よりの励ましになります。ピアノを通じて、音を楽しむだけでなく、自分らしく生きる力、そして考える力も育っていく。そんな場所を見つけられるといいですね。